のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?第6話 異世界でものび太はのび太

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のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?

のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?第6話 異世界でものび太はのび太

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運の悪戯、運の味方

午後の日差しが穏やかに降り注ぐ草原で、のび太はプルルンと並んで腰を下ろしていた。リューシカは近くの木陰で昼寝中――らしい。

 

「ふぅ……今日もいっぱい歩いたなぁ。プルルン、君も疲れてない?」

「ぷるるっ♪」

 

のび太の手に跳ね乗ったプルルンは、まるで「まだまだ元気だよ」と言わんばかりに揺れた。その無邪気さに、のび太はくすっと笑った。

 

「なんかさ……君といると、ちょっとだけ強くなった気がするよ」

 

その時だった。背後の茂みががさりと揺れた。のび太はびくりと肩を跳ね上げ、慌てて立ち上がる。

 

「ま、また魔物っ!?」

 

だが茂みから現れたのは、野ウサギのような小動物だった。

 

「な、なんだ……ビックリさせないでよ……」

 

その直後、のび太の足元に落ちていた石がコロリと転がる。転がった先にあったのは、地面にぽっかり空いた小さな落とし穴――のび太は気づかなかったが、まさにその一歩手前で止まっていた。

 

「……え?」

 

振り返ると、プルルンがわずかに揺れていた。まるで落とし穴の存在を察して、のび太を止めようとしたようにも見える。

 

「さっきの茂みの音も……もしかして、わざと注意を引いた……?」

 

のび太はプルルンを見つめた。そのつぶらな瞳は何も語らないが、そこには確かに意志が宿っている気がした。

 

「ねぇ、プルルン……君って、運がいいの?それとも……僕の運がいいの?」

「ぷるっ♪」

 

曖昧な返事に、のび太はまた笑った。だけど、確かに“運命”のようなものを感じずにはいられなかった。

 

――そして、運命はもう一つ、のび太に試練を与える。

 

突如、村の鐘の音が草原に響き渡った。のび太とリューシカは顔を見合わせ、急いで戻る。

 

「な、なんだろう……?非常事態?」

 

村の広場に駆け込むと、村長らしき初老の男性が、集まった村人たちに何かを叫んでいた。

 

「西の森から、魔物の痕跡が見つかった!すぐに自警団を……!」

「魔物……また?」

 

リューシカの顔が曇る。だがのび太は、その時ふと気づいた。――なぜか、自分の手が震えていない。心臓がバクバクしているわけでもない。

 

「僕、行くよ」

 

ぽつりと呟いたその声に、リューシカは驚いたように目を見開いた。

 

「……あんた、自分がどれだけ弱いか分かってる?」

「うん。レベル1だし、筋力も1だし。でも……それでも、何かできるかもしれないって思ったんだ」

 

のび太はプルルンを手のひらに乗せた。

 

「僕には、仲間がいるから」

 

風が吹いた。村人たちのざわめきの中、小さな決意が草原に立ち上がった。

その姿はまだ、か細いし、頼りない。けれど、確かに“前へ進もうとする意志”だけは本物だった。

 

異世界でも、のび太はのび太――だけど、“ただののび太”じゃない。

彼はもう、逃げるだけの少年ではなくなっていた。

 

今回のまとめ

第6話では、異世界の生活に慣れ始めたのび太が、“自分はのび太のまま”でありながらも、少しずつ成長していく姿が描かれました。スライムのプルルンとの絆はさらに深まり、運の良さが絶妙なタイミングでのび太を助けてくれます。

過去の自分なら逃げていたはずの事態に対し、のび太は「行く」と言えるようになりました。まだまだ弱く、無力な少年――でも、確かな一歩が踏み出された回となりました。

次回は、村を脅かす魔物の存在に、のび太がどう向き合うかが描かれます。

次回、第7話『謎の美少女剣士登場』もどうぞお楽しみに!

 

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