のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?第4話 魔物に追われて泣きながら逃走

https://www.sirolog.com

お知らせ

のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?

のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?第4話 魔物に追われて泣きながら逃走

投稿日:2025年11月2日 更新日:

魔物に追われて泣きながら逃走(後編)

村に戻ったのび太は、もう何も言わずに藁の上に転がった。息が上がり、全身が汗と土でべたべたになっていたが、それどころではなかった。

 

「……はぁ、心臓止まるかと思った……」

 

心底ぐったりとしながら呟いたのび太の隣で、リューシカが冷たい水を差し出した。のび太は何も言わず、それを一気に飲み干す。

 

「今ので分かったでしょ。こっちの世界は、常に命がけ」

「わ、分かりました……分かったから、しばらく草原禁止にして……」

 

のび太の訴えに、リューシカはクスリと笑う。

 

「まあ、よく逃げ切ったよ。敏捷2とは思えないスピードだった」

「僕、逃げ足だけは小学校の頃から褒められてたんだ……」

 

どこか誇らしげなその顔に、リューシカは肩をすくめた。

 

「その特技、案外この世界じゃ生き残る鍵になるかもね」

 

のび太は苦笑いを浮かべたが、心の中では少しだけ安心していた。あんな恐ろしい目に遭ったにもかかわらず、「自分は無力なだけじゃない」と、初めて認められた気がした。

夕方になり、空が赤く染まり始める頃。リューシカが持ってきた夕食を前に、のび太はぽつりと呟いた。

 

「ねえ、リューシカ。僕さ、この世界で少しずつやってけるかな?」

「うん、やってけるよ。逃げ続けても、生きてれば次のチャンスはくる」

 

「でも、逃げてばっかじゃ……」

「“逃げる”ってのは、“生き残る”ってことでもある。あんたは今日、正しい選択をした。それに、ちゃんと助けを呼んだ。それができるだけで、この世界じゃ立派な能力さ」

 

のび太は目を見開いた。

 

「能力……」

「そう。“運が良かった”で済ませちゃダメ。自分の行動が繋がって、生き延びたんだよ」

 

言葉のひとつひとつが、のび太の胸に染み込んでいく。

 

「ありがとう、リューシカ。……僕、もうちょっと頑張ってみるよ」

 

その言葉にリューシカは少しだけ微笑み、スープをすくった。

 

「じゃあ明日も訓練ね」

「うぅっ……」

 

のび太の冒険はまだ始まったばかり。けれど確かに、彼は今日、“生きる力”を手に入れた。

そしてその夜、のび太は泥のように眠りについた。異世界の星空の下、彼の寝息はどこか穏やかで、確かな未来を感じさせるものだった。

 

今回のまとめ

第4話では、のび太が初めて“魔物”と真正面から出会い、命の危機に晒される緊迫の展開が描かれました。恐怖で泣き叫び、必死に逃げるのび太でしたが、それでも生き延びることができたのは、彼自身の行動と“逃げ足”の早さによるものでした。

リューシカの言葉に支えられながら、彼は“逃げる”ことすら立派な力だと知り、小さな自信を得ます。最弱の少年がまた一歩、冒険者として前進しました。

次回、第5話『初めての仲間はスライム』へ続きます!お楽しみに!

 

のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?/関連記事

◇前回

のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?第3話 チート無し!? 絶望の始まり
のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?第3話 チート無し!? 絶望の始まり

前回のあらすじ ステータス確認のため訪れた神殿で、のび太は自身の“最弱”な現実を突きつけられました。筋力1、敏捷2、MP4……まともに戦う力など皆無。しかし、唯一“運”だけは異常なほど高く、99という ...

続きを見る

 

◇次回

 

-のび太が異世界転生!?ファンタジー世界で生き残れるのか?

Copyright© しろログ~ネタバレブログ~ , 2025 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.