愚地独歩VS末堂厚 地下闘技場に響く「虎殺し」と「怪力」の咆哮!
それは、神心会の道場に一通の招待状が届いたことから始まった。地下闘技場、特別招待試合。出場選手に名を連ねていたのは、神心会総帥・愚地独歩と、その直弟子にして巨漢空手家・末堂厚。
そのカードを見て、神心会関係者は耳を疑った。
「師範と末堂が……ッッッ!!?」
だが、独歩はただ静かに笑っていた。
「実戦だ、末堂。お前がどこまで登ったのか、見せてみろ・・・ッッッ!!」
末堂はその言葉に、全身の血が沸き立つのを感じていた。かつて己を拾い上げ、鍛え上げた師。その背中はあまりにも遠かった。だが今、この拳で、あの背中を殴れる。超えられる。
「……やっとこの日が来たッスよ、独歩師範・・・ッッッ!!」
そして、会場が地下闘技場に決まると同時に、その試合は"公開処刑"と揶揄されるほど話題となった。「虎殺し」VS「フィジカルモンスター」。伝統と怪力、師弟の想いが交差する闘いが幕を開ける。
空手の流儀、ぶつかり合う意志――極限の“礼”
場内アナウンスが静まり返り、静寂のなかに二人の足音だけが響く。闘技場中央で正対する独歩と末堂。立ち合いの礼を終えた直後、独歩の眼光が獣のように鋭くなる。
「かかってこい、末堂・・・ッッッ!!」
その言葉が合図だった。先に動いたのは末堂。三戦立ちから低く踏み込み、全体重を乗せた正拳突き――
「キャオラッ!!」
凄まじい音と共に、大気が振動する。だが独歩は一歩も引かず、その拳を左腕で受け流すと同時に、逆の拳で鳩尾へカウンター。
「ハッ!!」
末堂の巨体がわずかに揺れる。
「効いてねェ……ッッッ!!?」
だが、次の瞬間には独歩の足技が襲い掛かる。足払い、膝蹴り、裏拳。年齢を感じさせぬ動きに、末堂は防戦一方となる。
「速ェ…ッッッ!!まるで読めねェ・・・ッッッ!!」
観客席では、加藤清澄が呟く。
「師範の“型”は、戦いの中で生きてる……“見せる型”じゃねぇ、“殺す型”だ・・・ッッッ!!」
だが末堂も黙ってはいない。空いた瞬間に下段回し蹴りを放つと、場が揺れるような音が鳴る。独歩の膝が一瞬沈む。
「シッ!!」
「ほぅ…やるじゃねぇか・・・ッッッ!!」
独歩が愉快そうに口角を吊り上げた瞬間、末堂の連撃が始まる。左突き、右突き、そして崩しを入れての膝!
「チェイッ!!キャオラッ!!シッ!!」
それらすべてを独歩は微細な動きでかわしながらも、表情には喜びが浮かんでいる。
「こいつ…本当に強くなりやがった・・・ッッッ!!」
そんな折、独歩が静かに構えを変える。虎殺しの際に用いた“殺しの構え”――。
「見せてやるか…本気を・・・ッッッ!!」
その瞬間、観客の緊張が爆発する。独歩が次に何をするのか、それは誰にも予測できない。
