■刃牙道
第185話「出端」
「二人の闘いは刹那の領域へ・・・」
■前回のレビュー
■刃牙道
刃牙によるゴキブリダッシュからの超速の上段蹴り!!
これを難なくかわす武蔵!
同時に左足で刃牙の軸足である右のふくらはぎ辺りに体重を込める!
刃牙は空振りに加え、軸足に体重をかけられたことでガクッと、バランスを崩す!
武蔵はこの絶好のチャンスを生かすことなく、バックステップ!距離をとった。
「よし見えた」
タマタマをモミモミしながら、そう語る武蔵。
「いいぞ。いざ組み打たん」
そう言いながらも、武蔵は構えという構えは見せず、右手はいまだにタマタマを揉みしだいている。
先ほど刃牙の蹴りをかわし、かつバランスを崩したにも関わらず、追撃をしなかったのは、したくても出来なかったのか?
金的のダメージは想像以上だったというわけか。
「金的(つりがね)がな。だいぶ降りてきた」
一定の距離を挟み、睨み合う両者・・・
そんな中、観客席にいた柴千春は刃牙の動きを見て思い出していた。
刃牙の編み出したゴキブリダッシュ・・・
それを最初に受けたのが、他でもない柴千春であった。
尊敬する花山薫に促されるまま、刃牙に挑戦した千春・・・
その挑戦の最後を締めくくったのが、何を隠そうゴキブリダッシュだった。
柴千春が狙うは目潰し・・・
目潰しは簡単に見えて高等技術だという。
柴千春には無理な芸当だと当時刃牙は言っていたっけ。
だからこそ、刃牙は自ら、突き立てられた二本の指に目を当ててやると言い出した。
その上で、両指をくじく・・・と。
普通に考えれば正気ではない。
突き立てられた指二本に、自ら突っ込んでいくというのだ。
それだけでも常軌を逸しているのに、加えて、目で指をくじく!?
『眼球』でもって、指を挫くってアンタ・・・
誰が聞いたところで不可能だと笑うだろう。
しかし、刃牙はやってみせたのだ。
究極の脱力・・・!!
全身が液体になるイメージ・・・!!
そこから生まれる神速・・・!!
柴千春は刃牙の言葉に半信半疑だったが、それでも万が一を考え、
当たる前に拳を握ってしまおうと考えていたようだ。
だが結果はどうだ?
握る暇さえなく、刃牙は両目で両指を挫いて見せたのだ。
その時、5~6mの間合いはあった。
それを瞬間移動と思うほど一瞬にして移動し、両目を挫く・・・
人間技ではない・・・それほどまでに速い・・・!!
それほどまでに強い・・・!!
それを・・・あんなにもあっさりとかわした武蔵・・・ッッ!!
やはり並ではない・・・バケモノだ。
「驚かされた」
武蔵は刃牙のゴキブリダッシュをどう分析するのか?
「加速がない。
静止の体(てい)から開始(はじ)まる以上、踏み込むには必ず加速が生じる。
ところがだ。少年(ボン)の踏み込みには加速がない」
出端がすでに最高速ッッ!!
「余程だ。余程緩みきっていないと、あの剛速は出ない」
そう・・・まるで『水』のように・・・
武蔵は刃牙の師は誰かと考える。
「よく言うわ。その『出端』余裕で返り討ちにしておいてよォ」
「買い被るな」
武蔵は刃牙の『動く刹那』の直前・・・
刃牙から発せられた『気配』に気づき、先手をとったつもりでいた。
それでも尚、一度目は不覚をとり、あの三連打を浴びた・・・
つまり、来ると解っていてもかわせないということ・・・
では、何故二度目はかわせたのか?
それについて、守護神・本部以蔵が語る。
「ガイアよ。お前さんにはあって、俺にないもの」
「え・・・」
それこそが、武蔵の見せた『初動』の察知能力だという。
「本部先生も既に・・・」
「おだてるねいバカ。
俺のは『読み』・・・経験値からくる単なる『読み』だ」
脳の奥には届いちゃいねぇ
二人の領域は『脳』の・・・
「ここからは『読み合い』だ」
ふーむ・・・二度目の攻撃をかわしたのは、
刃牙の速度を上回る段階で動いてたってこと?
例えて見るとこういうことか?
刃牙の気配を察知・・・0.1秒後に武蔵は攻撃をしかけるが返り討ちにされた。
ならばと
刃牙の気配を察知・・・0.05秒後にかわす動作に移る→攻撃をかわせた。
ってことかな?
ようするに最初の時は刃牙の速度を見誤り、ある程度余裕を残して攻撃を仕掛けてしまったため、攻撃を喰らったと。
二度目は更に早く動いたってことなのか?
それとも、”初動の察知”とやらの精度を集中力をもってして高めたってことなんだろうか?
ふーむ、ここからは読み合いの闘いっていうが・・・
相手がこうくると読んで自分はこうだすってのを互いに超速でやり合う気なのか?
うーむ、読み合いに関しちゃ武蔵の方が上な気がするな。
経験に加え、読み合いが日常だった戦国時代に生きてきたんだからなぁ・・・
次回に続く!!
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