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今回は、とある大学生が飲み会の帰り道に遭遇した怪異の話だ・・・
一人、気分よく駅に向かっていた彼。
そんな中、突然の雨に遭ってしまう。
鞄を傘代わりにし、駅に向かい走る彼・・・。
ここで、忘れ物をしたことに気付いた彼は、しばらく雨宿りをする事に。
しかし、いっこうに止む気配のない雨に、戻る気も失せた彼は、忘れ物は明日とりにいけばいいや・・・と、帰る事を決めた。
すぐ傍の駅への地下道に降りていく彼。
「こんな所に地下道なんてあったんだな・・・」
ひんやりと冷え切った地下道に、身震えする彼。
薄暗く、先も見えない地下道・・・
「これ・・・本当に駅までいけんのか・・・?」
不安を覚えながらも、先へと進む彼。
「気味悪っ・・・」
なだらかなカーブを描く通路。
点在する電灯の明かりが、不気味に点滅する・・・
それにしてもおかしい・・・
結構歩いている気がするのだが・・・
いっこうに、先が見えてこない。
「なんだよ・・・」
引き返すべきか・・・?
青年が悩み始めた・・・そんな時だった。
暗い通路の先に、人影らしきものが・・・
「・・・え?」
作業員だった。
しかし、こんな時間に・・・たった一人?
違和感しかない・・・
「・・・らいのは最初だけ・・・暗いのは最初だけ・・・」
作業員はブツブツと、同じ言葉を繰り返している。
彼が近づいても、小さな独り言は変わらない。
ただ・・・彼が近づくことで、作業員がとった唯一のリアクション。
それが、青年を誘導するかのような、指さしだった。
「ん・・・?うわ・・・!!」
作業員が指差した方向に視線を向けると、そこには一段と暗く、細い道が続いていた。
ここを進めと・・・この作業員は言いたいのか?
「あの・・・駅に行きたいんですけど・・・」
「暗いのは最初だけ・・・暗いのは最初だけ・・・」
青年の問いかけに、全く答える気がない作業員。
相変わらず、俯いてブツブツ独り言を呟いている。
「んだよ・・・!」
あまりにも気味が悪かったため、青年は誘導には従わず、そのまま直進することを決めた。
「きもっちわるいなぁ・・・」
それから程なくして・・・
突き当たりに到着した青年だったが・・・
「ん!?ッチ!くっそ・・・」
結局シャッターが下りて閉鎖になっていた。
仕方なく来た道を戻ることにする青年。
しかし、歩けど歩けど入り口が見えてこない・・・
それ以前に、先ほど遭遇した作業員と、不気味な横道も見当たらない。
そんな事を考えつつ・・・距離感を失いながらも、進む青年。
次第に息苦しさを憶える・・・
「おかしいな・・・どうなってんだ・・・はぁ・・・はぁ・・・
この辺だったはずなのに・・・」
ふと足元に視線を落とすと・・・
そこには無数の足跡が!!
「なんだこれ・・・靴跡・・・?」
そして、ふと横に視線を移すと・・・
「・・・!!これって・・・」
どうやら先程の横道のようだ。
埋めなおしたかのように塞がっているのだが・・・
それよりも気になるのは、この人影のような痕・・・
まるで向こうから、出してくれと叫んでいるような・・・
するとどうだ・・・
人影は徐々に動きだし、壁からすり抜けてきた!!
「暗いのは最初だけ・・・暗いのは最初だけ・・・」
「うわああああああ!!来るな!!来るな!!」
青年は一心不乱に駆け出した。
「うわああああああああああ!!!
誰か!!誰か!!出してくれええええええ!!」
「暗いのは最初だけ・・・」
青年が地下道へ降りた階段は消え・・・
その後、彼を見たものはいないそうだ・・・
結局途中の分岐点で進んでも、進まなくても、バッドエンドだったのかなぁ?
それとも、あの作業員さんは彼を助ける為に現れ、あのまま横道を進んでいれば、助かったのか?
まさにウィズの”いしのなかにいる”状態か。。
ひぇ・・・てか最終回なのかな?
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