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今回の話は、冬休みに両親に連れられ、祖父母の家に遊びにきた少年のお話・・・
普段雪と触れ合うこともないので、外に出て、いとこのお兄ちゃんと大はしゃぎ!
実に楽しそうである。
日も暮れはじめ・・・
体が冷え始めた二人は、かまくらを作り出した。
かまくらってそんなに温かいんやろか・・・
僕なら、かまくら作るより普通に部屋に入るけどなw
二人が入れる位の大きさのかまくらが完成した。
中は思った以上に温かいようだ。
おにいさんは、火鉢でも持ってきて、モチでも焼こうと言い出した。
かまくらで食べる餅は、また格別だろうなぁ・・・。
・・・・・
・・・
かまくらで一人待つ少年は・・・ふと、かまくらの外の雑木林に目をやった。
すると・・・雑木林の中にポツリと、かまくらがあるのが目に入った。
少年は興味本意で、そのかまくらに近づいた。
だが、このかまくらは不思議なことに入り口がない・・・
だが、良く見れば、うっすらと・・・入り口を埋めたような痕が見える・・・
そして、かまくらの中には、炎の揺らめきのような明かりが見える。
好奇心に駆られた少年は、中に誰かいるのか確かめるため、かまくらを叩いてみた。
ボスボスッ!
すると・・・
ボスッボスッ!っと内側から、かまくらの壁を叩く音が返ってきた。
「!・・・・誰かいる・・・」
中に誰がいるのか確かめたくなった少年は・・・
よせば良いのに、木の枝でかまくらに穴を開け始めた・・・
中を見ると、人の姿はなく・・・
ロウソクの火が揺らめいているだけだ・・・
良く見ると、壁にはなにやら・・・掘り進めようとした手のあとが見受けられる・・・
「誰か・・・いるんでしょ・・・?」
「わッ!!」
少年は思わず声を張り上げてしまった!
目の前に、人の目らしきものが突然現れたのだ!
「ツギハキミノバン・・・」
「マサユキ!?」
お兄さんが駆けつけたときには、マサユキ少年は倒れて天を仰いでいた。
そして、近くにあったかまくらは破壊されていた。
このかまくらは、二人で作ったほうのものなのか・・・
はたまた、あの・・・かまくらなのか・・・
少年が目を覚ました時には、祖父母の家に寝かされていた。
障子の向こうでは、只ならぬ雰囲気の両親や祖父母の様子が感じ取れた。
一体何があったのか・・・少年は思い出せない。
両親は泣き崩れ、ただただ祖父に謝っている様子が伺える。
そして・・・しばらく経った後・・・
「じゃあそろそろ・・・」
「あぁ・・」
「マサユキ」
障子を開けた両親の顔や、その奥の祖父母の顔は笑顔に満ちていた。
「マサユキ、こっちへおいで」
みんなはいつもより優しかった。
だが、それがかえって彼には何か悪い予感めいたものだと感じざるを得なかった。
そして視線の先のかまくらも・・・気になる・・・。
「君もそう思う・・・?」と、誰かに問いかけるマサユキ・・・
「ホラ、キミノバンダヨ・・・」
ひぇ・・・
これは・・・何か儀式めいた話なのだろうか?
少年を生贄に捧げたところ、マサユキ君が結界を破ってしまい、中にいた少年が出てしまい・・・
次の生贄がマサユキ君になってしまった・・・ってところか?
もしくは、何か悪いもの・・・
悪霊の類か、それらにとりつかれてしまった少年を封印していたところ、それが逃げてしまった?ってことなのか?
その存在を見てしまったマサユキ少年も、いずれ悪霊の類になってしまう・・・
だから封印する・・・って感じなのかなぁ?
中々想像力を掻き立てられるいい話だったな。
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